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- 授業
- 2020/05/29
- グラフィックデザイン科
授業紹介「パッケージデザイン」
グラフィックデザイン科の皆さん。こんにちは。
今回の授業紹介は「パッケージデザイン」です。
パッケージデザインは2年生の前期で勉強する科目です。 普段皆さんはお買い物をする際に、購入物で迷ったら何をベースに購入を決めていますか? 結構パッケージで決めている。という人も多いのではないでしょうか。
皆さんの身の回りに当たり前に存在するデザインされた商品。ほぼ全ての商品にデザイナーが関わっていると言っても過言ではありません。パッケージデザインの良し悪しで売上が左右されることもしばしばです。
お店で見かけるデザインされた商品の数々
「パッケージデザイン」の授業ではビジュアルだけでなく、その役割や機能性、構造なども理解しデザインの制作に取り組んでいきます。 商品パッケージの制作においてはブランディング(*a)を考慮し、モックアップ(*b)制作まで展開します。
※ブランディング(*a)とはブランドに対する共感や信頼などを通じて顧客にとっての価値を高めていく、企業と組織のマーケティング戦略の1つ。
※モックアップ(*b)とは完成イメージを視覚的に表示し確認していくもので、全体のデザインや要素のアレンジ、課題の洗い出しなどが可能になる。
その年度により、多少の違いはあるものの、毎年特定の商品をテーマに販売促進のために各々がVI(*c)を企画立案し、作品を制作します。そこには商品のロゴ、パッケージ、包装紙、イメージポスター、商品宣伝ポスターの販売促進用のツールが必要になってきます。
まずはガイダンスで、先生から課題が言い渡されます。昨年度は
「東京オリンピック・パラリンピック2020を来年に控え、沢山の人が東京を訪れようとしているこの時に、国内外のお客様に新しい東京の魅力を知っていただくため、新しく「東京紅茶」ブランドを立ち上げる企画」を考え、販売促進用のツールを作ろう!というものでした。
デザインを考える際に必要なことは「自分の目で確かめる」ということです。そのためには新宿にある紅茶専門店に出かけて行き、フィールドワークを行いどんなパッケージで売られているのか、人気が高いのはどれかなど、市場を調査し、パッケージについての現状を調査します。自分の目で確かめ、商品に関する自己分析とグループでのブレインストーミング(*d)でまとめていきます。
グループになりブレインストーミングを経てまとめていく
グループでのブレインストーミングが終われば、様々な情報を整理し独自のVI計画にまとめていきます。もちろんVI計画の柱となるロゴについても並行して形状と色彩のデザイン意図を学習していきます。
※VI(*c)とはビジュアル・アイデンティティの略でブランドシンボルやロゴデザインを中心にブランドを象徴するデザイン要素一式を総称した呼称のこと。企業戦略を構成する要素の一つ。
※ブレインストーミング(*d)とは発想法の手法の1つで、5、6人のグループになりアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法のこと。
企画がまとまったら発表です。グラフィックデザイン科ではプレゼンテーションを行う機会が比較的多くあります。自分の作品をプレゼンすることは非常に大事なことで、学科ではこのプレゼンテーションを大事にしています。
クラス全員と先生の前で企画のプレゼンテーションを行う
ここからはモック作りに入っていきます。モック用に使う紙は「竹尾見本帖」に見学に行き、そこで実際に手触りなど確認し、購入します。
竹尾見本帖に見学に行き、紙の話を聞く学生たち
パッケージデザインの基礎演習としてパッケージの役割、特徴などの理解を深めた後、実際に展開図を組み立てて確認を行っていきます。
左:パッケージの展開図と右:それを実際に形にしたもの
最後はVI計画に基づいて手提げ袋、ポスターなどの制作を行い、完成させていきます。そして最終プレゼンテーション。 出来上がった作品に対してどのような思いで制作したのかなど、担当教員にプレゼンしていきます。先生からのかなり厳しい突っ込みもあり気が抜けません。ですが自分で企画したものが形になって行くのが楽しくて、このパッケージの授業は学生に大いに人気です。
自分の作品をプレゼンする学生達と担当教員である井岡英明先生
各々のプレゼンテーションが終わった後は、講評があります。自分以外の作品のプレゼンに対する向き合い方とか、考察、アイデアなど学ぶ点が多いのも人気の一つかもしれません。
丹精込めて作った作品は、外部展示に出展します。色々な方に作品を見ていただけるように、ここ数年は新宿クリエイターズフェスタに参加をさせていただいております。
パッケージの作品を展示していると、学生の作品だとは思えないほどクォリティが高いね。本当に売っている物かと思った。など嬉しい言葉を頂戴します。対応する学生に直接いただける言葉が次の活力になっています。ただ作って終わりではなく、展示をして様々な方の意見を聞くことにより、独りよがりではなく俯瞰して見る力が付いていきます。
パッケージというとただ見た目の美しさが優先されそうですが、見た目の美しさだけではなく、機能性や構造も理解し、最終的にはエンドユーザーと呼ばれる私達消費者にどう響くか。という事が大事になってきます。 それらを意識しながら勉強して行く時間はきっと楽しいものになると思います。
いかがでしたでしょうか。 2年生の皆さんは、もう間も無くこの授業がスタートします! イメージは付きましたでしょうか。
1年生の皆さんは、パッケージが作れる! ときっとワクワクしている事でしょう。 でもその前にまずはグラフィックデザインの基礎をしっかりと勉強していきましょう。