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シラバス

コンピュータグラフィックス科 2024年度入学生

科目名 作品評価Ⅰ 作成日 2024/04/07
区分 必修 講義
開催時期 2年次 前期
講義・演習駒数/週 1駒
実習・実験駒数/週 0駒
合計駒数/週 1駒
総時間数 30時間
総単位数 2単位
企業連携
授業の目的 映像プロダクション、ゲーム関連会社、アニメ制作会社、広告プロダクション、放送関連会社、広告代理店、企業の宣伝部などといった組織に就職した時、企画会議やディレクターの演出時に「『蜘蛛巣城』の霧の感じで…」や「ソール・バス風のオープニングで…」「昔の『ブレードランナー』の雨の雰囲気で…」でといった表現がなされる。この時に、分かりませんでは仕事にならない。そこで作品を観る目を養い、自分がディレクターやスーパーバイザーになった時に適切な手法を選べる訓練を行う。
到達目標 CGだけでなく、アニメーションやVFX、アトラクション映像、VRなど、多分野にまたがる映像の知識を得ることで、単なるCGオペレーターだけでなく、ディレクター、プロデューサー、プランナーとして活躍できる人材の育成を目指す。

評価項目 ①定期テスト ②小テスト ③レポート ④課題 ⑤作品 ⑥ポートフォリオ ⑦成果発表 ⑧その他
割合  %  % 80%  %  %  %  % 20%
評価基準
実際に授業内、あるいはそれ以外の場所で見た映像作品を論ずる。単に「…は面白かった」といった感想ではなく、必ず何かテーマを持った評論になっていることが重要。題材選びのセンスも評価基準。提出されたレポートの内容と出席率、授業時における積極性などから総合的に判断する。
※上記に示した評価項目の割合(%)を基準に、総合評価点を算出して成績評価を行う。
※出席率が80%未満の場合は、評価対象としない。

担当教員 大口 孝之
テキスト・参考文献 オンデマンドで講義内容のビデオ(mp4)と、PowerPointのスライド(pdf)を配付。 参考文献: 「コンピュータ・グラフィックスの歴史 3DCGというイマジネーション」「ビジュアル情報処理 CG・画像処理入門」など。
実務経験有無  
長年、映像業界において新分野のパイオニア的活動を行ってきた経験と、映像ジャーナリストとして世界中の研究組織やプロダクションを訪問して得た情報をベースに授業を行う。  
関連科目    履修前提   

授業計画

回数 学習目標 学習項目
1 ビジュアル・エフェクト①:現在はデジタルになったと言えど、VFXの基本はフィルム時代に開発された技術の置き換えに過ぎない。その基本を学ぶことで深い理解力を得て、将来VFXクリエーターやスーパーバイザーとなるべく知識的基盤を得る。  SFXとVFXの違い。VFXの歴史。グラスショット、ハンギングミニチュア、マットペインティング、シュフタンプロセス、リア・プロジェクション、フロント・プロジェクション、LEDウォール、インカメラプロセスなどの合成技術などを学ぶ。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
2 ビジュアル・エフェクト②:現在はデジタルになったと言えど、VFXの基本はフィルム時代に開発された技術の置き換えに過ぎない。その基本を学ぶことで深い理解力を得て、将来VFXクリエーターやスーパーバイザーとなるべく知識的基盤を得る。  オプチカル・プリンティング、ロトスコープ、ウィリアムズ・プロセス、ダニング=ポメロイ・プロセス、ブルー/グリーン・バック合成、ナトリウム・プロセス、クロマキー、アルチマットなどのトラベリングマット技術。AIやライトフィールドなど新技術を用いた合成。ミニチュア撮影のコツなどを学習。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
3 ビジュアル・エフェクト③:現在はデジタルになったと言えど、VFXの基本はフィルム時代に開発された技術の置き換えに過ぎない。その基本を学ぶことで深い理解力を得て、将来VFXクリエーターやスーパーバイザーとなるべく知識的基盤を得る。  ティルトシフト、レンズ画角、強制遠近法、縮尺と撮影速度の関係、クラウドタンクなど、ミニチュア撮影の技法。モーション・コントロール撮影。タイムスライス。さらにボリューメトリック・キャプチャーなどの最新技術も紹介。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
4 動物の表現:映像で動物や絶滅した古生物、架空のクリーチャーを描くには、どんな映像技術があるのかを学習する。  本物の動物に特殊メイク。動物の動きをロトスコープ。本物の動物をCGで加工。機械仕掛けのアニマトロニクス。着ぐるみやスーツ、特殊メイクなどで人が演ずる。フルCGモデル。動物のモーション・キャプチャー。群知能によるクラウドシミュレーション。遺伝的アルゴリズムによる進化シミュレーションなど、様々な動物表現の手法を学ぶ。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
5 宇宙の表現:映像で宇宙空間や宇宙船などを描くには、どんな技術があるのかを学習する。  アニメーションの応用、回転式セットの利用、ガラス板を利用、無重力訓練機内で撮影、合成を活用、ワイヤーワーク、クレーンを利用、実際のISSで撮影など、無重力状態の表現について。また、地上と真空の宇宙における照明の違いについても学ぶ。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
6 ディザスター映像①:洪水、津波、火山、地震、竜巻、核爆発、隕石衝突、大規模火災などの災害表現は、もっともVFXの需要がある分野である。そのテクニックの歴史と手法を学ぶ。  ミニチュアの破壊、水落し、クラウドタンク、CGなど様々な表現手法を学ぶことで、生徒が将来VFXスーパーバイザーとなった場合、撮影条件や予算などを考慮して最適なテクニックを選択できる能力を身に付ける。特に1930年代に頂点に達していたハリウッド特撮や、60~70年代の日本映画の技術は見応えがある。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
7 ディザスター映像②:自然災害の表現の2回目。  最近のVFX作品では、古い技術の見直しが始まっており、古典的なミニチュア特撮や物理エフェクトと最新CGを組み合わせることで、予想もできない効果が次々と生まれていることを知る。  
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
8 ディザスター映像③:自然災害の表現の3回目。  「NHKスペシャル」などテレビドキュメンタリーへの応用や、防災映像などなどにおける応用例。それらに用いられている流体&破壊シミュレーションのツールについて学習する。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
9 プラネタリウム/ドームシアター:プラネタリウムとドームシアターについて理解する。  現在はCG技術を用いるデジタル・プラネタリウムが普及しており、CGアーティストはドームマスターなどのツールを知っておく必要がある。またVRやシミュレーション・ライドにも共通する、ドームスクリーンの利点と問題点についても学習する。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
10 コンセプトアート①:コンセプトアートの重要性と歴史について理解する。  コンセプトアートとは何か。その役割と手法、主要な作家について学習する。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
11 コンセプトアート②:現在コンセプトアートがどうやって作られているか、また将来はどうなるのかを学習する。  現在、世界で活躍するコンセプトアーティストの紹介と、具体的な技法について。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
12 人物のCG表現①:映画、アニメーション、ゲーム、WEBサービスなどにおいて、人物のCG表現は不可欠になっている。それは、いかにして成長していったのか。先人たちの足跡を学び、現状を理解する。  CGの黎明期から研究者たちは、人間をリアリスティックに表現する技術の開発を続けてきた。その過程で障害となった、髪の毛や衣服、肌の質感などが、いかにして克服されてきたか。さらに80年代末から続く、バーチャル・タレントなどへの応用の歴史について解説する。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
13 人物のCG表現②:映画、アニメーション、ゲーム、WEBサービスなどにおいて、人物のCG表現は不可欠になっている。それは、いかにして成長していったのか。先人たちの足跡を学び、現状を理解する。  人物の演技を表現する上で、いまや不可欠になっているモーション・キャプチャーについて、原点となったロトスコープから、最新のボリューメトリック・キャプチャーまで、その歴史と種類を解説する。さらに、映画における人物のCG利用について、人間では不可能なスタントの表現や、若返り、故人の復活など様々な事例を紹介する。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
14 人物のCG表現③:映画、アニメーション、ゲーム、WEBサービスなどにおいて、人物のCG表現は不可欠になっている。それは、いかにして成長していったのか。先人たちの足跡を学び、現状を理解する。  フォトリアリズムの人物のみで作られた映画や、日本映画における応用例について紹介。またステージやミュージックビデオなど、音楽における利用や、ゲームのキャラクターについても解説する。さらにリアリズムの度合いが増すに従い、“不気味の谷”と呼ばれる現象が生じるのはなぜか。またその克服法は何かを考える。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。
15 人物のCG表現④:映画、アニメーション、ゲーム、WEBサービスなどにおいて、人物のCG表現は不可欠になっている。それは、いかにして成長していったのか。先人たちの足跡を学び、現状を理解する。  肌、顔面の毛、虹彩、歯、顎の動き、皮膚の微細構造などの基礎研究。ホロコースト経験者を裸眼立体映像とAIで保存する活動。ヴァーチャル幼児。犯罪抑止。ファッションへの応用。アートへの応用。ディープ・フェイクの問題と可能性などについて解説する。 
【理解度確認】質問の受付と、授業後に簡単な感想文の提出によって理解度や疑問点を確認する。