授業計画 |
回数 |
学習目標 |
学習項目 |
1 |
デザイン業務の中で、クライアントと「企画」を共有するために「企画書+
プレゼンテーション」が、どのような役割を果たすのかを理解する。 |
企画とは?企画書とは?プレゼンテーションとは?
企画とは、クライアントからの課題に対して最善の解決策を考えること。それを提案・共有するためのツールが企画書。そして、プレゼンテーションをゴールと捉えるのではなく、その後一緒に考えてゆくためのスタート地点だと理解する。デザイナーはクライアントに寄り添い、消費者に価値を届ける役目だと理解する。 |
【理解度確認】 |
2 |
企画を考える際に必要な「論理・感情・精神」、そしてWebデザインが生み出す「驚き>共感>共有=感じて動く」を理解する。Webデザインによって「人が動く」企画が目的と理解する。 |
デザイン企画の目的とは?
Webデザインの企画は、ターゲットの心をいかに動かし行動を促すかを目的とする。そして「驚き>共感>共有=感じて動く」という人の心の動きを理解し、企画に必要な「納得を得るための論理、感情を動かす表現、そして信頼を作る取り組み方」について理解する。練習課題として、それぞれの好きなエディトリアル(雑誌等)の構成を分析してみる。 |
【理解度確認】演習:練習課題提出 |
3 |
企画の進め方の基本形「課題>未来像>解決方法」を理解し、実技課題に応用する。いきなり言葉やデザインを進めるのではなく、図式化しながら論理的に考えるスタンスを身につける。 |
企画の進め方:考えを言葉にし、図式化して整理する
様々な要素を「課題」「未来像」「解決方法」に分けて言語化してみる。それを図式でつないで考えを整理する。その上で「本当の課題とは?」「消費者の潜在的ニーズとは?」「最適な解決方法とは?」それぞれを何度も検証すべきことを理解する。 |
【理解度確認】演習:練習課題プレゼンテーション |
4 |
クライアントの課題・社会の課題・消費者の不満や求めるものを検証し、本質的課題とは何か考える。簡単に答えを出すのではなく、最善の答えを探究し続けるスタンスを身につける。 |
企画の進行/1.本質的課題の抽出
企業課題、社会課題、消費者のニーズから課題を分析する。そもそも何が問題なのか、そして本質的課題を見つけ出すために、5W2H・ベルソナ分析・ブレストを通じて消費者の「隠れた不満」について意見を出し合ってみる。そこから各自、何が本質的課題なのかを考え1枚企画書にまとめる。 |
【理解度確認】演習:1枚企画書提出 |
5 |
課題が解決した未来を考える。使う「人が幸せになる」未来像(ビジョン)を描く。それが企画の種になることを理解する。高い”イデー(理想)”と、ビジョンから考える習慣を持つことを指導する。 |
企画の進行/2.課題から未来を描く
それぞれがまとめた「本質的課題」から、それが解決されたワクワクするような未来像(ビジョン)を考えてみる。それは、クライアントにどんな”イデー(理想)”を提案するのか考えることでもある。課題と解決までの流れを図式化しながら考え、論理的破綻が無いかしっかり検証する。 |
【理解度確認】演習:練習課題プレゼンテーション |
6 |
企画とは、消費者の心を動かすためのもの。人の心を動かすのは簡単なことではなく、大多数(みんな)へのコミュニケーションよりも特定ターゲット(あなた)に向ける方が効果が高いことを理解する。 |
企画の進行/3.ターゲットを絞り込む
大多数に向けてではなく、特別な「あなたへ」のコミュニケーションは力を持つ。「多さより深さ」を重視するためには、「ターゲットに同化する・マニアに絞る・親しい人に置き換える」などから考えてみる。ターゲットを限定することで、よりリアルな「課題と未来像」が見えてくることを理解し、1枚企画書に反映させる。 |
【理解度確認】演習:1枚企画書提出 |
7 |
商品・人生双方向から本質的課題とその答えを考えてゆく。企画を考えるにあたり商品と人生を対比させることを習慣付ける。人生と共感を考えた企画進行の流れを理解する。 |
企画の進行/4.商品と人生を対比して考える
企画では、見た目の良し悪しよりも、どれだけ人生を考えた本質的課題を見つけられたかが重要となる。また、本質的課題の発見には「そもそもなぜ?」という問いかけが有効であることを理解する。デザイン分野を限定せず様々な事例から本質的課題の解決例を学ぶ。 |
【理解度確認】演習:練習課題プレゼンテーション |
8 |
デザイン思考で言う「ターゲットの潜在ニーズの洞察」は企画における最重要なファクター。洞察とは表には現れていないターゲットの思いを理解することであり、先入観にとらわれない発想力が重要となることを理解する。 |
企画の進行/5.共感を作る(ターゲットの本音の洞察)
ターゲットへの深い洞察には思考だけでなく実体験が重要になる。人の心を動かすためには「驚き+共感+共有」が必要だが、その鍵は愚痴や不満の中に潜んでいる。不満は理想があるから持つものであり、その解決が共感を生む。ターゲットへの深い洞察を得るために様々なアプローチで "同化"を試し、1枚企画書をまとめる。 |
【理解度確認】演習:1枚企画書提出 |
9 |
デザインはビジネスツールであることを認識する。その上で、商品がもっと欲しくなるアイデアを「不満の解決+商品の価値+ワクワクする未来像=ストーリー」という流れから考えるスタンスを身に付ける。 |
企画の進行/6.ストーリーを作る
商品の価値を高めるストーリーを、「消費者の心の中にある『隠れた不満・本質課題』>その解決が商品価値と結びつくアイデア>ワクワクするような未来像」という流れで考える。ストーリーは、本質的課題の定義から解決アイデアまで導くために用いる。 |
【理解度確認】演習:練習課題プレゼンテーション |
10 |
それぞれがまとめてきた1枚企画書をベースに、プレゼン用の企画書をまとめる。まずは構成を組み立てるところから。"イデー"と"構成"の良し悪しで企画の価値がほぼ決まってしまうことを理解する。 |
企画案の構成
「1.商品と人生の洞察/2.ターゲットの特定/3.ターゲットの隠れ不満・本質課題とは何か?/4.それをどう解決することで商品と結びつけるのか/5.商品が欲しくなるストーリー/6.アイデア」という一連の流れで企画の構成を組み立てる。その中心に”イデー(理想)”を置くことが重要。 |
【理解度確認】演習:企画構成の提出 |
11 |
依頼主からの課題に対する解答という企画書の目的がストレートに伝わるように、シンプルに、大胆に、わかりやすくまとめることが重要。むだな装飾はいらないことを理解する。 |
企画書作成の注意点
無駄は極力省く、わかりやすい、なるべく文字を読ませない、視認性の良いフォント、写真や図で説明する、余白を充分にとる、色は最大で3色まで(少ない方が良い)、フォーマットをつくる、強弱をつけるなど、単純明快さが重要になることを理解し実践する。企画書は一人歩きすることを前提にまとめることを理解する。 |
【理解度確認】演習:企画書の作成 |
12 |
スライドは、企画書をベースに、タイトル、図表、写真、デザイン案などで構成すること。文章はできるだけ省き、口頭で語ることを前提にすべきと理解する。 |
スライド作成の注意点
スライドは必要最低限の枚数で構わない。見せた方が効果的なものや見せないと説明にならないものだけで構成して構わない。スライドと並行して1枚企画書を作ることで、原稿やメモを読まないでもプレゼンテーションができることを理解する。 |
【理解度確認】演習:スライドの作成 |
13 |
プレゼンテーションに必要なものは企画書、スライドだが、最も重要なのがプレゼンテーターの心の準備と理解する。相手の視点に立ってプレゼンすべきことを理解する。 |
プレゼンテーションの注意点
プレゼンテーションでは、上手に話せた方が良さそうだが、必ずしもそうとは言い切れない。誠意と企画意図が伝わることが重要であることを理解する。また、失敗談から多くを学ぶことができる。それぞれ次回のプレゼンテーションに向けて1枚企画書、スライド、企画書ををまとめる。 |
【理解度確認】演習:企画書、スライド、1枚企画書の提出 |
14 |
これまでそれぞれがまとめてきた企画をプレゼンテーションし、クラスで共有する。何かを理解してもらうことの難しさを学ぶ。 |
プレゼンテーション実習・講評
相手のわかる用語で話すこと、相手の理解度に合わせた説明方法を考える。スライド、企画書、資料は、それぞれ役目が異なること、企画書は一人歩きすることを理解する。 |
【理解度確認】演習:企画プレゼンテーション |
15 |
この授業全体を、エトスが問われる企画内容、ロゴスが問われる企画書、パトスが問われるプレゼンテーションとして総括する。 |
授業全体の総括と振り返り
Webデザイン企画で目指す価値、企画の基本形、企画書の構成、プレゼンテーションの注意点など授業全体で学んだ内容の振り返り、授業でのプレゼンテーションの中で特に印象深かったものの紹介、卒業制作に向けて考えてもらいたいことなどを総括。 |
【理解度確認】 |