ゲームのストーリーに感動して、思わず泣きそうになったことはありませんか。
ゲームのストーリーや、キャラクターのセリフなど、ゲームの世界を盛り上げる要素はすべてゲームシナリオライターが作成します。
本記事では、ゲームシナリオライターの4つの仕事内容と必要な能力、学びの方法について解説します。
ゲームシナリオライターとは、ゲームのシナリオを作成する仕事です。
「シナリオ」とは、単にゲームのストーリーだけを指すのではなく、キャラクターの性格やセリフといった、ゲームの世界観につながる全ての設定を指します。
つまり、ゲームシナリオライターが、ゲームのあらゆる設定を生み出しているのです。
「あらゆる設定を生み出す」と聞くと、とにかく大変な仕事と思いがちですが、その分、やりがいもあります。
たとえば「シナリオに感動した」という反響があったときや「シナリオの評判がよく、シリーズ化の話がきた」ときには、大きな達成感を得られるのも、ゲームシナリオライターの特権です。
シナリオ作成は、以前はゲームプランナーやゲームディレクターが兼任することもありました。
しかし、最近のゲームは、ストーリー性を求められる作品が多く、ジャンルもバトルや恋愛、ファンタジーなど、多岐にわたることから、ゲームシナリオライターの需要が高まっています。
では、ゲームシナリオライターは、実際にどのような仕事をしているのでしょうか。
ゲームシナリオライターは、ひたすらシナリオを書くイメージかもしれませんが、実は他にも仕事があります。
ゲームシナリオライターの仕事は、以下の4つです。
それぞれ解説します。
ゲームシナリオライターは、企画に沿ったシナリオを書くため、ゲームプランナーやプロデューサーと打ち合わせをします。
打ち合わせは、ゲームの世界観やコンセプトの説明を受けたり、今後の制作工程や納期を確認したりして、スムーズに終わることがほとんどです。
しかし、企画によっては、積極的な提案や意見を求められることがあります。
たとえば「映画のような展開のゲームを作りたい」といった、シナリオ重視のゲーム企画がある場合は、とくにゲームシナリオライターの意向が重視されます。
ですので、打ち合わせに臨む際は、受け身の姿勢ではなく、作品に対する自分の意見やイメージをしっかり伝えられるよう、準備することが大切です。
打ち合わせが終わると、次は「プロット」を作成します。
プロットとは、「ゲームの全体構成やストーリー、キャラクターのセリフといったゲーム内のあらゆる情報を文章でまとめたもので、いわばシナリオの設計図です。
プロットはシナリオとは違い、すべてを完璧な文章で書くわけではありません。
そのため、全体の構成やストーリー展開さえ押さえておけば、スムーズに書き進められます。
プロットの量は、ゲームジャンルによって、かなり変動します。
たとえば、壮大なRPGの場合は、オープニングからエンディングまでストーリーの作り込みが必要な上、ステージごとの分岐点もあります。
そのためプロットの量も膨大になります。
一方で、バトルゲームやパーティーゲームの場合は、一貫したストーリー展開はあるものの、内容としては戦闘やミニゲームがメインです。
つまり、RPGに比べると、プロットの量は少なめです。
このように、プロット作成は、ゲームジャンルによって設定を変え、必要な展開やセリフを盛り込む、想像以上に細やかな作業です。
ゲームシナリオライターは、セリフだけでなく、場面ごとの状況や人間関係もシナリオに反映させます。
そのため、「シナリオ作成にむけた取材・資料集めは、作品にリアリティをもたせるために不可欠です。
ゲームには時代考証が必要な歴史ものや、トレンドを捉えたキャラ設定が必要な恋愛ものなど、情報収集がヒットの鍵を握る作品がたくさんあります。
たとえば、「歴史上の人物の描き方に威厳がない」「恋愛シミュレーションなのに、キャラクターの反応が一辺倒でつまらない」といったゲームが、人気作になるとは思えませんよね。
そのため、ゲームシナリオライターは、自分が書いたシナリオのゲームを人気作にするためにも、取材や資料集めを徹底することが大切です。
プロットが完成し、取材や資料集めが済んだら、ついにシナリオ作成です。
ゲームシナリオライターは、ゲーム内で矛盾やフラグの回収漏れが生じないよう、細かい部分まで丁寧にシナリオを作成します。
また、シナリオは一度書いたら終わりではありません。
シナリオは、初めて書いたものを「初稿」と呼び、そこからチェックが入り、修正するたびに「第2稿」「第3稿」と数字が増え、完成シナリオは「最終稿」と呼ばれます。
初稿は、ディレクターや映像監督のチェックが入り、設定にズレがないか、セリフの言い回しは適切かなど、細かい指摘が入ります。
ゲームシナリオライターは、差し戻されたシナリオを修正してチェックに回す流れを、最終稿が完成するまで何度も繰り返します。
このように、ゲームシナリオライターは、想像以上に時間と手間をかけてシナリオを作成し、最高の状態で世に出せるように努力しています。
次に、ゲームシナリオライターに必要な能力について、解説します。
ゲームシナリオライターは、学歴よりも、本人の能力が評価される仕事です。必要な能力は、大きくわけて以下の4つです。
魅力的なシナリオを生み出すためには、発想力が欠かせません。
ゲームの世界にユーザーを引き込むためには、他にはないストーリー設定や個性豊かなキャラクターのアイデアが求められます。
ゲームの場合はとくに、「物語の展開や結末が一つとは限らないので、あらゆる展開を想定する、柔軟な発想力が求められます。
また、話題になるゲームを作るためには、いい意味で人の予想を裏切る、突飛な発想も大切です。
たとえば、「ずっと一緒に旅をしていた仲間ががラスボスだった」「ハッピーエンドかと思いきや、悲恋の結末だった」という展開があると「次はどうなるのだろう」「もしかして続編があるのかな」とワクワクしてゲームにのめり込みますよね。
このように、プレイヤーが驚く展開のゲームは、口コミで話題となり、売れる可能性が高いです。
発想力を磨くためには、映画や舞台を鑑賞したり、小説を読んだりして、さまざまな物語や作品に触れる経験も大切です。
日常生活の中で、見たもの、聞いたこと、感じたことなど、あらゆる経験をシナリオのアイデアに活かしましょう。
文章力は必須スキルです。
ストーリー展開やキャラクターのセリフ、動きを、すべて文章でまとめるためです。とはいえ、ただ書き連ねればよいというわけではありません。
制作現場では、シナリオを元に作業が進むため、誰が読んでも分かりやすい文章であることが重要です。
また、ゲームシナリオライターの文章力は、ゲームのしやすさにも影響します。
ユーザーは画面に表示される文字から、ゲーム進行に必要な情報を読み取ったり、キーポイントになるキャラクターのセリフを拾ったりします。
その時に、「キャラクターのセリフが長すぎて、要点が分からない」「画面に表示される情報が多くて、目が疲れる」となれば、ゲームを進める気になりません。
ゲームシナリオライターは、「どんな状況でプレイしても、進めやすいゲームにするために、セリフや状況の描写を、とにかく分かりやすく、簡潔にまとめる文章力が求められます。
慣れるまでは、とにかく手を動かして、文章を書く経験を積むことが大事です。
ゲームシナリオライターには、ユーザーを惹きつけるリアルなキャラクター作りが求められます。
リアルなキャラクターを作るためには、「観察力」が不可欠です。
キャラクターの動きやセリフがリアルだと、ユーザーはキャラクターに対して親近感がわき、共感したり、感情の変化に反応したりして、よりゲームを楽しむことができます。
観察力に長けていると、普段から人の行動や感情の変化、対話の仕方などを注意深く観察し、それをシナリオの中でうまく再現できます。
観察力を磨くには、たとえば、カフェで客同士のやりとりを観察したり、街中で出会う人の言動に目を向けたりして、たわいのない日常の風景を切り取る習慣をつけていきましょう。
忍耐力も重要です。
シナリオ作成をしていると、アイデアが思うように出ずにスランプに陥ることや、何度も指摘や修正要求が出され、心が折れそうになることもあるでしょう。
しかし、うまくいかないからといって、シナリオ作成を途中で投げだしてはいけません。
ゲームシナリオライターは、自分の書いたシナリオが名刺代わりとなり、業界の評価や、次の仕事につながります。
そのため、手抜きをすると、自分のシナリオのレベルを見限られてしまい、経歴に傷がついてしまいます。
その点、売れっ子に共通する力として、「アイデア不足でも、何度も修正されても、諦めずに試行錯誤を続けて、シナリオを完成させる忍耐力が挙げられます。
困難に直面した時こそ「これを乗り越えたら成長できる」と自分を鼓舞して粘りましょう。
ゲームシナリオライターになるには、何らかの方法で自分のシナリオが評価される機会を作ったり、専門知識を学んだりすることが必要です。
では、どうしたらゲームシナリオライターになれるのでしょうか。大きく以下3つにわけられます。
ゲームシナリオライターは独学で目指すことも可能です。
まずは市販のテキストや通信講座を活用して、学びを深めましょう。
また、ある程度シナリオが書けるようになったら、シナリオコンクールに応募することもおすすめです。
独学の場合は、どうしても自分のシナリオを客観的に評価してもらう機会が少なくなりがちです。
ゲームシナリオライターとしての素質があり、いくら良い作品を書いていても、人に見てもらう機会がなければ、評価も注目もされませんよね。
シナリオコンクールは、テレビ局やラジオ局、イベント会社が主催するものなど、色々あるので、まずは手あたり次第応募してみてもよいでしょう。
自分のシナリオが入賞し、実力が評価されれば、ゲームシナリオライターになる道につながります。
自分のレベルやシナリオの完成度を知るためにも、独学であればコンクールの活用が大事です。
ゲームシナリオライターになるには、大学へ行くのもよいでしょう。文学部や芸術学部が近い学部として該当します。
大学は、卒業までに4年という月日がかかりますが、ゲームシナリオライターに必要な文章力や表現力、アイデアの生み出し方といった知識を幅広く学べるメリットがあります。
また、パソコンスキルや日本語表現など、自分に足りない知識や、より深く学びたい分野の講義を自由に選択できるのも魅力です。
「他の選択肢も含めて幅広い知識を学び、基礎を固めたい」という場合は、大学へ行きましょう。
ゲームシナリオライターになりたい気持ちが強いなら、専門学校が近道です。
専門学校の魅力は、シナリオ制作に必要な技術を基礎から学べる上、カリキュラムの一環として、自分のシナリオを作家や編集者に見てもらう機会が豊富にあることです。
プロから直接アドバイスをもらったり、現場のエピソードを聞いたりできるのは、専門の人脈を持つ専門学校ならではのメリットといえます。
また、専門学校には、制作現場と同じスピード感で、打ち合わせ、プロット作成、シナリオ作成を進める実習もあり、現場で即戦力となる人材を育てるノウハウがあります。
「確かな技術を身につけて、現場で活躍したい」という場合は、専門学校へ行きましょう。
本記事では、ゲームシナリオライターの仕事内容や必要な能力、学び方についてまとめました。
ゲームシナリオライターは、特定の学歴や技術は必要ありません。
そのため、ライバルも多く、よほど有名な方以外は、常に案件を狙って競争しているのが現状です。
専門学校は学生とプロが接する機会を豊富に設け、制作現場さながらの実習にも力を入れています。
専門学校で、プロとしての仕事の仕方や、現場で活かせるスキルを身につけたゲームシナリオライターは、制作側からも「一緒に仕事がしやすい」と判断され、仕事を任されやすくなります。
日本電子専門学校では、「ゲーム企画科」があり、シナリオ技法などの講義で、実践的な学びができるのが特徴です。
卒業生は、「カプコン」や「スクエアエニックス」といったゲームメーカーに就職、もしくはフリーランスとして活躍しています。
ゲームシナリオライターになりたいと考えているのであれば、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。