シリーズ化している人気ゲームをみて、「誰がゲーム内容を考えているんだろう」と思ったことはありませんか。
新作ゲームの企画を考え、制作の指揮をしているのが、ゲームプランナーです。
本記事では、ゲームプランナーの仕事の流れ、求められる適性、学び方について解説します。
ゲームプランナーは、ゲームの企画・制作進行、分析などをする仕事です。
ゲーム制作は、リリースまでにかかる制作工程を、段取りごとに分けて行います。
ゲーム完成までにかかる制作工程の分類は「企画立案」「制作準備」「制作」「集計・分析・改善」の4つです。
通常はこの4つの工程ごとに、ディレクターやデザイナー、エンジニアなどが集められ、担当する仕事が割り当てられます。
しかし、ゲームプランナーは、「企画立案」を担当することはもちろん、「制作準備」と「制作」では進行管理を担当、さらにゲームのリリース後には「集計・分析・改善」と、全工程を通して仕事があります。
このように聞くと、ゲームプランナーは大変な仕事に思えますが、その分やりがいもあります。
とくに「自分の企画したゲームが、形になって世に出て、多くの人を楽しませている」という達成感を味わえるのは、ゲームプランナーならではの魅力です。
ゲームプランナーの仕事について知った上で、次は、ゲームプランナーの仕事の流れについて学びましょう。
ゲームプランナーの仕事は多岐にわたるため、混乱やタスクの抜け漏れを防ぐために、しっかりと段取りを理解して取り組む必要があります。
ゲームプランナーの仕事の流れは、ゲームの制作工程ごとに、以下の6段階に分けられます。
それぞれ解説します。
ゲームプランナーの最初の仕事は、新作ゲームの作品概要の企画立案です。
作品概要とは、作品の軸となるコンセプトやテーマ決めに加え、操作ルールやシナリオ、キャラクター設定といった細かい要素の考案も含みます。
また、売れるゲームを制作するために、「最近はどのようなゲームを、どんな年齢層のユーザーが買っているか」の市場調査も行い、企画に反映させます。
ゲームの概要が決まったら、企画書を作成し、社内プレゼンテーションに挑みます。
社内プレゼンテーションとは、企画内容を、社内の人に向けて説明することです。
いくら自分で「この企画は面白い」と思っていても、社内プレゼンテーションで承認されなければ、企画はボツになります。
社内プレゼンテーションでは、自分が「面白い」「売れる」と思った根拠や、ゲームの内容を、論理的に説明することが重要です。
社内プレゼンテーションで企画が通ると、次はスケジュール作成や人員配置決めといった「制作準備」に入ります。
会社の規模によっては、ゲームプランナーが制作準備を担うこともありますが、基本的には、ディレクターやプロデューサーがメインで行います。
ゲームプランナーは、準備が進められている間に「仕様書」の作成に入ります。
仕様書とは、ゲームの世界観やシステム、画面のレイアウトといった、ゲームのあらゆる構成要素を記した「ゲームの設計図」です。
デザイナーやプログラマーは、ゲームプランナーが作成した仕様書通りに作業を進めるため、認識のズレが無いよう、丁寧に作り込む必要があります。
仕様書を作るときは、分かりにくい表現には注釈を入れたり、参考資料として図解や写真を活用したりするとよいでしょう。
仕様書が完成したら、ゲームの制作にとりかかります。
ゲームの制作は、ゲームデザイナーやプログラマーが担当し、ゲームプランナーは全体をみて「仕様書に沿った制作ができているか」をチェックします。
進行をチェックするなかで、スタッフ間で意見の食い違いなどが生じたときは、話し合いの場を設けたり、指示を出し直したりして、制作がスムーズに進むように調整します。
制作が進むと、新作ゲームの試作品があがってきます。
ゲームプランナーは、試作品に対して「テストプレイ」と呼ばれる仕上がり検証を繰り返し行い、「企画や仕様書のイメージ通りに仕上がっているか」「修正点やバグはないか」を確認します。(デバッガーと呼ばれる専門の職種が行うこともあります。)
テストプレイで発覚した修正点やバグは、スタッフと連携して改善し、ゲームのクオリティを上げて、完成を目指します。
ゲームプランナーが、クオリティの高いゲームを作ったところで、そのゲームが売れなければ意味がありません。
そこで、ゲームプランナーには、ゲームのリリース後も、「売上解析と反響分析」の仕事があります。
ゲームが発売されると、売上データや、ユーザーからの反響が続々とあがってきます。
売上データには、ゲームを購入した人の性別や年齢層などが含まれており、ユーザーからの反響には、実際にゲームをプレイしてみてのキャラやストーリーに対する感想、時には操作性やストーリー展開に対する厳しい意見も含まれます。
ゲームプランナーは、それらのデータをまとめ、分析して、改善点の洗い出しをします。
改善点は、すぐに対応が必要なものなら、ゲームのアップデートに反映させたり、作品全体に対する意見は、次回作のアイデアに活かしたりします。
ゲームプランナーは、1つのゲームを作るにあたって、最初から最後まで気が抜けない仕事です。
では、どのような人がゲームプランナーとして活躍できるのでしょうか。
ゲームプランナーとして活躍するためには、特別な資格などは必要ありません。
しかし、能力や経験値として持っておくと有利な適性があります。
ゲームプランナーに向いている人の適性は、以下の4つです。
ゲームプランナーは、「とにかくゲームが好きである」ことが求められます。
ゲームをプレイした経験のある人ならば、「こういう操作ができたら楽しいのに」「このストーリー展開は面白いな」と思ったことがあるでしょう。
このように、ゲームが好きで、さまざまなジャンルのゲームをプレイしている人は、ユーザー目線で「面白いゲームとは何か」を考えることができます。
つまり、ゲーム好きな人は、ヒットが見込めるゲームの企画が出しやすく、ゲームプランナー向きです。
また、ゲームプランナーは、テストプレイで何時間もゲームをプレイすることがあります。
仕事とはいえ、同じゲームを何度も繰り返しプレイするのは疲れますよね。
それでもゲームをプレイすること自体が「苦にならない」のが、ゲームが好きな人の強みです。
もちろん「ゲームが好き」という気持ち以外にも必要な適性はあります。
しかし、ゲームに対する情熱をもって、楽しく仕事に臨めるという点では、ゲーム好きな人こそ、ゲームプランナーの適性があるといえます。
ゲームプランナーには、コミュニケーション能力も求められます。
ゲームプランナーは、チーム全体を見渡して、制作がスムーズに進行するように管理する仕事です。
ゲーム制作には、プロデューサー、ディレクター、デザイナー、プログラマーなど、何十人ものスタッフが関わります。
制作に関わる人が多ければ、制作現場でのスタッフ同士の意見の食い違いや、情報の伝達漏れなどのトラブルが起こりやすいです。
そこで、ゲームプランナーは、スタッフとコミュニケーションを密にとり、スタッフ同士が気持ちよく仕事を進められるように努めることが必要です。
自分の話だけをするのではなく、相手の意見も丁寧に聞き、やりとりができるとよいでしょう。
流行に敏感な人も、ゲームプランナーの適性があります。
流行に疎い人がゲームを作ると、企画に以下のリスクが生じます。
流行に乗れず、ユーザーの興味関心とかけ離れたゲームは、売上も伸びません。
一方で、流行に敏感な人が作るゲームは、ストーリー展開やキャラ設定、BGMにいたるまで、あらゆるところに最新トレンドが入れ込まれており、多くのユーザーの興味を惹き、メディアの話題にもなりやすいです。
そのため、流行に対する敏感さをもつ人は、ゲームクリエイターとしてヒット作を生み出すことが期待され、適性があるとみなされます。
論理的思考力とは「物事の論点を整理して考える力」のことです。
論理的思考力が高い人は、説得力のある話し方ができたり、相手の気持ちや立場に沿った伝え方ができます。
ゲームプランナーは、プレゼンテーションや制作スタッフとのやりとりの中で、ゲームの企画内容や、ゲームへの熱意、制作にまつわる細かい指示などを、相手に説明する場面が多いです。
そのため、ゲームプランナーは、相手に自分の意図を明確に伝えるために、論理的思考力が適性として求められます。
ゲームプランナーとして、相手が納得、共感できるように話の内容を論理的に整理し、冷静に物事を考え、伝える力を身につけましょう。
では、どのようにしたらゲームプランナーになれるのでしょうか。
ゲームプランナーになるには、専門知識を学び、自分の企画を評価してもらう経験が必要です。
ゲームプランナーになるための方法は、以下の3つです。
ゲームプランナーを、独学で目指すことも可能です。
最近では、趣味でオリジナルゲームを作る人が増えている背景から、ゲームの企画開発に関する書籍や動画などが多くあります。
独学でゲームプランナーを目指すなら、まずは市販されている専門書籍や、インターネット上で公開されているノウハウ動画などをみて、学びを深めるとよいでしょう。また、ゲーム会社でアルバイトすることもおすすめです。
実際に、現在ゲームプランナーとして活躍している人のなかにも、ゲーム会社やメーカーのアルバイトから、プロになった人が大勢います。
独学していると、どうしても自分の企画を客観的に評価してもらう機会や、実務経験を積む機会が少なくなりがちです。
ゲーム会社でのアルバイトは、プロの仕事を間近で見ながら、経験を積むことができる上に、会社のスタッフに自分の企画に対してアドバイスをもらえるというメリットもあります。
「ゲームプランナーになりたい」という熱意をアピールし、自分の今の能力を知るためにも、ゲーム会社でのアルバイトを有効活用しましょう。
ゲームプランナーになるには、大学に通う方法をとるのもよいでしょう。
現役のゲームプランナーにも、さまざまな学部出身者がいます。
大学に通う場合は、卒業までに4年という月日がかかりますが、ゲームプランナーに必要な企画や資料作成、プレゼンの知識を基礎からしっかりと学べるカリキュラムが豊富です。
また、大学では、専門分野以外の講義を受けることができるため、幅広い教養を身につけられるのもメリットでしょう。
パソコンのスキルやマーケティングについて学びたければ、該当する他学部の講義もとれますし、必要に応じて教職課程を選択できるのも、大学ならではの魅力です。
「幅広い知識や技術を学び、将来の選択肢を増やしたい」という場合は、大学を検討しましょう。
ゲームプランナーになるための近道は、専門学校に通うことです。
最近では、家庭用ゲーム以外に、オンラインゲームやスマホ向けゲームアプリなど、ゲームのジャンルが増えている影響で、ゲームプランナーの需要も増えています。
そのため、専門学校によっては「ゲームプランナー専攻」の学科を設けているところもあります。
専門学校の魅力は、ゲームに特化した学習環境で、最新の設備を使いながら、ゲームプランナーとしての知識や技術を効率的に学べることです。
また、ゲームの制作において、ゲームプランナーの重要な役割である「企画書や仕様書の作成方法」や「プレゼンを成功させるノウハウ」なども、在学中に体験・習得できるのは大きなメリットです。
「ゲームプランナーになるために、専門的な内容を効率よく学び、いち早くゲーム業界に就職したい」という場合は、専門学校へ入学しましょう。
本記事では、ゲームプランナーの仕事の流れや4つの適性、ゲームプランナーになるための学び方についてまとめました。
ゲームプランナーは企画職のため、CGデザイナーのように専門技術は必要ありません。
そのため、就職の間口も広く、求人もさまざまな大学や専門学校に出されており、倍率が高いのが現状です。
その点、専門学校は実習に力を入れているため、仕様書の作成方法やプレゼンの仕方、データ分析の方法といった、現場で活かせるスキルをしっかりと身につけられます。
会社がゲームプランナーとして求める人材は「即戦力となり、売れるゲームを企画してくれる人」なので、専門学校で学びを深めることは、就職にも有利です。
日本電子専門学校は、1951年に創立され、1980年代からいち早くクリエイター教育をはじめた、歴史ある専門学校です。
日本電子専門学校には、ゲームプランナー育成に特化した「ゲーム企画科」があります。
企画演習の授業があるのが特徴で、「オリジナルゲームの企画立案をする」というクリエーションワークを通して、現場さながらの実践的な学びができるのが魅力です。卒業生は、「スクエアエニックス」「カプコン」などに就職し、「マリオパーティー」シリーズや「モンスターハンター」シリーズなどの有名ゲームの企画に携わっています。
ゲームプランナーとして活躍したいと考えているのであれば、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。