Webサービスやアプリ開発などの市場規模が拡大する昨今。商品やサービスなどをPRしたい企業からの需要が高まっている職種の1つが、クリエイティブディレクターです。
クリエイティブディレクターとして活躍したくても、「具体的な仕事内容がわからない」「必要なスキルはあるのか」「どうしたらなれるのか」など、不安になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、クリエイティブディレクターの仕事内容、求められるスキル、将来性、クリエイティブディレクターになるための方法などを解説します。
クリエイティブディレクターとは、広告や映像制作の現場で、企画から制作までの指揮を取り、制作依頼した企業のイメージや商品などを作り上げていく職種です。
広い意味で言う「制作物の監督者」と理解しておくとイメージしやすいでしょう。
ちなみに、クリエイティブディレクターは「Creative Director」の略称としてよく「CD」と呼ばれます。
一方、よく混同される職種として「アートディレクター」があります。
アートディレクターは、あくまで広告のビジュアルを制作する管轄内での指揮者です。
クリエイティブディレクターは全体の監督者なので、アートディレクターの上司にあたります。
では、クリエイティブディレクターはどのような仕事をするのでしょうか。もう少し詳しくご紹介します。
クリエイティブディレクターの仕事内容は、大きく分けて以下の3つです。
順番に解説します。
クリエイティブディレクターの仕事は、制作の依頼主との打ち合わせから始まります。
たとえば、広告制作を依頼する背景として、何かしらの商品やサービスをPRしたいという考えがあります。
商品やサービスなどの魅力はもちろん、企業のイメージに合う制作物にするためには、念入りなヒアリングが必須です。
たとえば「宣伝した結果どうなりたいのか」「具体的な宣伝手段は何か」「商品にどのようなイメージを与えたいのか」などをヒアリングします。
クライアントの要望やターゲット、予算などから最適な企画・提案を行い、プロモーション展開の主導権を握っていきます。
たとえば、「かっこいい雰囲気にしたい」という要望だけでは、制作することは難しいのでしょう。
そこで、①で行ったヒアリングをもとに、「かっこいい」の定義について深掘りしていきます。
「力強く見せるために配色は黒をメインにするのはどうか」「疾走感を持たせるために文字や背景を斜めに配置するのはどうか」「音楽はラスボスが出てきそうな曲にするのはどうか」など、伝えるものの特徴を把握した上で、企画や提案を行います。
クリエイティブディレクターの役割として、クライアントとの打ち合わせだけでなく、プロジェクト全体の舵取りも担います。
中でもスケジュール管理が重要な仕事の1つです。
デザイナーやCGクリエイター、サウンドクリエイターなど、チームには多様なスキルや性格を持つメンバーが所属しており、制作にかかる手間や期間もそれぞれ異なります。
各メンバーと制作スケジュールのすり合わせをしながら、納期に間に合わせることが求められます。
では、クリエイティブディレクターの仕事をこなすためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。
クリエイティブディレクターになるには、以下のスキルが必要になります。
スキルが求められる背景も踏まえ、順番に解説します。
広告や映像など、視覚に訴えかけるものの制作はパターン化するとつまらなくなってしまうので、従来の常識を覆すような発想力が求められます。
ターゲットにとってインパクトがあり、心を動かすためにも、パターン化せずにクオリティの高い制作物にしなければいけません。
常に新しいものを生み出す必要がある分、普段から固定概念や先入観にとらわれない、ものの見方を鍛える必要があります。
クリエイティブディレクターは、制作における期日やコスト、品質などを管理するマネジメント能力が必要です。
常にチームメンバーの能力や性格に気を配り、強みを最大限引き出してあげるにはどうすればよいか。制作物のクオリティを保ちながら、予算オーバーにならないかなど、多様な事情を同時並行で考え続けることが求められます。
クリエイティブディレクターは内外の人とかかわる職種なので、コミュニケーション能力が問われます。
例えばチーム内の場合、メンバーがお互い気持ちよく仕事で連携できるよう、「聞き上手」を目指すのがおすすめです。
また、外部とのやり取りの際は、クライアントの要望を引き出したり、要件を調整する交渉術も必要となります。
このように広告制作にかかわるすべての方との信頼関係を構築するためにも、コミュニケーションがスムーズにできることは必須のスキルになります。
制作するうえで、納期が遅れたり予算が足りなくなったりなどのトラブルに対し、迅速な対応ができるような能力が求められます。
淡々とプロジェクトをこなすわけではなく、チームメンバー間で意見が食い違う可能性もあります。
問題によってプロジェクトを滞らせないためにも、起きてしまった問題を迅速に解決しなければいけません。
問題に即時当たりをつけ解決への道筋を作りながらメンバーをサポートできるようなスキルが必要です。
クリエイティブディレクターになるには、特定の資格を取得する必要はありません。
しかし全体を指揮する立場なので、制作に関する知識を持っているのは必須です。
つまり、デザイナーやイラストレータの業務を把握している必要があります。
クライアントとのやり取りで質問された際には、多少専門的な内容であってもその場で的確に答えたり提案したりし、プロジェクトの進行を円滑にすることが求められます。
クリエイティブディレクターになるには、客観的な視点とターゲットが満足する制作物になっているかどうかの分析力が必要です。
ターゲットが普段何を見ていて何に満足しているのかなど、心に響く要素を分析していかなければいけません。
ターゲットの趣味嗜好、トレンドなどを踏まえてアプローチを行うために、デザインやキャッチコピーなどの調査をし、制作物に反映します。
ここからはクリエイティブディレクターの将来性や年収、キャリアパスを解説します。
クリエイティブディレクターの仕事は、広告代理店だけでなくWeb制作会社やアプリ開発会社などの企業でも需要がある職種です。
市場規模の拡大に関しての調査結果によると、2021年にはインターネット広告がマスコミ4媒体9広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)を上回る結果になったと発表されており、活躍の場は広がっています。
高いスキルや経験次第で継続的な活躍が期待できる、魅力的な仕事といえるでしょう。
厚生労働省の職業紹介提供サイトによると、広告ディレクター(クリエイティブディレクター)の平均年収は「579.8万円」と発表されています。
また、dodaが2023年に公開したクリエイティブ系の職種全体の平均年収は「383万円」と発表されました。
仮に未経験からクリエイティブディレクターになったとしても、所属する企業の規模次第では、600万円を超すケースもあります。
出典:職業情報提供サイト「広告ディレクター」
出典:doda「平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」
クリエイティブディレクターになるには、デザイナーやイラストレーターなどの立場からステップアップするケースが多いです。
その後は専門性に応じてメディア制作に特化した「コンテンツディレクター」やWeb制作全体の責任者である「プロダクトマネージャー」なども見込めます。
また、クリエイティブディレクターにキャリアを上げた後、さらに高いレベルを目指したい場合は「プロデューサー」やフリーランスとして独立する道があります。
つまり、別の制作物における責任者になるのか、より高いレベルを求められる責任者になるか、独立して収入の向上や仕事量を自由に調整できる働き方を実現するのか…という選択肢が考えられます。
ここからはクリエイティブディレクターの将来性や年収、キャリアパスを解説します。
クリエイティブディレクターになるには資格を取得する必要はないものの、デザイナーやイラストレーターからキャリアステップを踏んでいくのが大半です。
クリエイティブディレクターを目指している方は、まずデザインに関する資格を取得しておくと有利になります。
制作の現場でも役立つ資格の一例は、以下の通りです。
上記のデザインに関連した資格以外にも「DTPエキスパート認証試験」や「ビジネスマネジャー検定」など、ビジネススキルを証明する資格の取得もおすすめです。
資格の取得は必須ではないものの、業務で役立つのでぜひ検討してみてください。
専門学校や大学に通うと、クリエイティブディレクターになるため必要な知識が学べるだけでなく、実践も積むことができます。
それだけでなく、就職が有利になるような、制作現場である企業と太いパイプが整っている専門学校や大学もあります。
個人差が出てしまう独学と比べ、専門学校や大学であればともに学ぶ仲間もできるので、モチベーションを高め合いながらクリエイティブディレクターを目指せるというのもメリットの1つでしょう。
クリエイティブディレクターは、未経験からいきなりなれる職種ではありません。
最初のうちはデザイナーやイラストレーター、コピーライターなどのクリエイティブ職からキャリアを積み上げていきます。
つまり、制作現場での実践経験は必要不可欠になります。
制作現場で経験を積み、クリエイティブディレクターになるチャンスを伺うのは1つの方法といえるでしょう。
本記事ではクリエイティブディレクターになるため、必要なスキルや未経験でも目指せる方法などを解説しました。
クリエイティブディレクターの実務をイメージするには、早い段階から知識や経験を積んでスキルを高めていくことが大切です。
日本電子専門学校では、プロの制作現場と同等のパソコン環境が整っています。
クリエイティブディレクターとして働くうえで必要な企画立案やプレゼンテーション、デザイン制作などをトータルで学べます。
卒業生の中には「ヤフー」や「楽天」などの大手Web関連企業の内定獲得者もいます。
クリエイティブ系の仕事に携わりたい方は、大学とは異なるプロの制作現場に近い環境で学べるので、まずは日本電子専門学校の資料をダウンロードしてみてください。